帯の種類いろいろ。正装用の丸帯や袋帯から、カジュアルに半幅帯など
2016/07/03
wakahaya
着物の種類はそれなりに知っているけど、帯がいま一つ分からないという方も多いのではないでしょうか。帯の種類を知っておくと、帯選びも楽になり、出先で人の目を不安に感じることもなくなります。また、自分で帯を結ぶ時や購入する際にもとても役に立つ知識なんです。
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様々な種類の着物を楽しむには、着物のTPOを知っておく必要があるでしょう。
着物だからと言って特別難しいことではありません。
洋服にも、フォーマル、準フォーマル、普段着等のTPOがあるのと全く同じなんです。
例えば、ウエディングドレスなら、白無垢や打掛、ジーンズやセーターなら紬や小紋、Tシャツやホットパンツなら浴衣、のように、置き換えてみると分かりやすいでしょう。
着るものだけでなく、帯や履物も同じです。
洋服の場合だって、結婚式にジャラジャラしたチェーンやサンダルは不適切ですよね。
それと同じで、着物だって兵児帯や下駄は結婚式では不適切な服装です。
そう考えると、着物だけが特別なのではなく、洋服と同じなんだと分かってもらえると思います。
着物に関しては、それぞれの場に相応しい装いを知っている方も多いと思います。
では、帯はどうでしょうか。
着物に詳しくない方は、「帯」と一くくりにして、全通だの六通だの聞いても全く分からないでしょう。
帯の種類を知っておくと着物に相応しい帯を選べるようになりますし、出かけた先で人目を気にするような不安な気持ちもなくなり、上手な帯選びが出来るようになります。
普段よく使う帯は、袋帯、京袋帯、名古屋帯、袋名古屋帯、単衣帯、半幅帯の6種類ほどです。
これらは帯の形であって、それぞれ長さや素材が違うものがあり、それによっても格が違ってきます。
その6種類の帯を格の高い形の順に説明していきましょう。
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格の高い丸帯
格式高く、とても素晴らしい見事な丸帯です。
丸帯は、別名、広帯とも言い、広幅生地を二つ折にして仕立てたもので、裏も表と同じ柄がある贅沢な作りの帯です。
数ある種類の中で最も格が高く、花嫁衣裳・本振袖・黒留袖などの一級礼装と合わせます。
【 注意! 】
古い丸帯の場合、お太鼓を結ぼうとすると柄が逆になってしまうものが多くあります。
その場合は、「引き抜き結び」という結び方にしなくてはなりません。
購入の際には気を付けてください。
【 豆知識 】
表にも裏にも柄があるということは、それだけ糸を多く使用しているので重くなります。
通常の袋帯の倍近い重さになると考えてください。
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格の高い夏用の丸帯
こちらは、上品で格の高い松葉文様の絽の丸帯です。
絽の帯は、夏着物に結ぶ帯です。
帯の種類としては、単帯の丸帯仕立てということになりますが、単帯の説明は後程。
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丸帯仕立てのしゃれ帯
写真は友禅の染め丸帯です。
最も格の高いと言っても、金糸銀糸を全く使っていない洒落感の強い帯はフォーマルには使えません。
あくまで帯の格の高さは、帯の種類と柄付けによって決まります。
【 染め帯と織り帯 】
どんなタイプの帯にも、「織り帯」と「染め帯」があります。
織り帯とは、染め上げた糸を織ることで模様になる帯のことを言い、染め帯とは、後から柄を描く友禅帯のことを言います。
同じ帯でも織りの帯の方が格が高く、染めの帯は格下になります。
家紋が入るような最高格の着物には染め帯は使えません。
ただし、加賀友禅だけは例外です。
本加賀友禅は友禅帯の最高峰です。
袋帯には2種類あります。
袋状に織られているもので、原則的には帯芯を入れずに手先、たれ先を折り込んで縫い合わせているものを「本袋」
表生地と裏生地2枚を縫い合わせているものを「縫い袋」といいます。
どちらも礼装、略礼装、しゃれ袋までいろんな種類があり、最も使われている帯の一つです。
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格の高い全通の袋帯
帯の表全体に柄がある、通し柄の袋帯のことを言います。
隠れてしまう部分まで柄があるので価格はお高くなりますが、格の高さ、手にする満足度は高いですね。
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図のように、全体の六割に柄があるという意味で六通といわれ、お腹の部分の内側の見えないところの柄を省いています。
価格も全通の六割程度で、数種類の袋帯の中で六通が主流といって過言ではありません。
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飛び柄、またポイント柄とも呼ばれ、太鼓と前に柄がある帯をいいます。
全体の三割ほど柄付があるところから、三通とも呼ばれ、価格も六通よりお安くなっています。
【 注意! 】
体系によっては、思うところがお太鼓に出なかったり、お太鼓結びが不慣れだったりする場合、柄位置の調整をしなくてはいけないので気をつけましょう。
【 注意! 】
お太鼓部分にしか柄がありませんので、いくら華やかで振袖に似合うといっても変わり結びが出来ませんので振袖には使えません。
お母様の袋帯を使う場合は確認してください。
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これまでの袋帯と比べると、お太鼓一重分、短い袋帯です。
お太鼓結びで、二重太鼓、一重太鼓と言いますが、このことを言います。
袋帯の中では一番格が低く、二重太鼓を結べる袋帯と名古屋帯の中間といったところでしょうか。
用途も名古屋帯とほぼ同じで、おしゃれな帯がたくさんあります。
【 注意! 】
お太鼓結びにも格があります。
二重太鼓の方が格が高く、一重太鼓は少し格が下がります。
柄合いによってはフォーマルにも使えますが、黒留袖、色留袖などの家紋が3か所以上入っている最高格の着物には格がつりあいません。
単帯とは、裏がついていない帯のことで、一枚織りの全通帯の総称になっています。
単帯は大きく分けて2種類あり、博多やウールや紬などの通年使えるタイプと、絽や紗のような夏帯があります。
夏帯の場合、生地が薄物で透けてしまうので例外として帯芯を入れて仕立てます。
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博多帯
単帯の定番の一つ、博多帯です。
踊りの稽古、普段着、浴衣にまで使える重宝な帯です。
帯の種類としてはしゃれ帯になりますのでフォーマルには使えません。
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紬の帯
赤城紬の単帯です。
小紋はもちろんのこと、大島紬や真綿系の紬など、フォーマル以外の着物であれば何でもOKです。
紬は、夏は涼しく冬は暖かく、とても重宝な生地です。
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絽の帯
夏帯の定番の一つ、絽のつづれ帯です。
絽の着物が6月下旬~8月いっぱいまでの着用に対し、絽の帯は5月下旬~9月初旬が基本使用期間になります。
柄によって、フォーマルから普段着にまで使えます。
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紗の帯
こちらも夏の定番、紗の帯です。
絽とはまた違った涼やかさの帯です。
使用期間は絽と同じ、5月下旬~9月初旬になります。
柄によって、フォーマルから普段着にまで使えます。
【 注意! 】
絽・紗・羅・麻などのように、夏素材や透け感のあるものは単帯の単衣用、夏用です。
ただし、汕頭(すわとう)だけは違いますので気を付けてください。
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汕頭刺繍の帯
汕頭(すわとう)刺繍とは、中国の三大刺繍の一つで中国の汕頭市発祥の刺繍です。
写真のように、その美しさから根強い人気の刺繍です。
デザインによって隙間の大きさも様々で、着物なら八掛、帯ならカラー芯で色のコントラストを楽しむことができます。
単帯もありますが、袷用の帯もありますので透けているからといて夏用と間違わないようにしましょう。
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羅の帯
紗よりもスケスケの羅の帯です。
お太鼓部分は二重になるのでこんなに透けはしませんのでご安心を。
基本使用期間は6月下旬くらいから9月初旬になります。
柄によって、フォーマルから普段着にまで使えます。
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図のように、手軽に結べるようにお腹に巻く部分を半分出来上がった状態に仕立てた帯のことを言います。
正装には向きませんが、式格の高い織りの帯なら入卒式、七五三等の多少改まった場所から普段着まで、とても重宝な帯です。
柄付けも袋帯同様、全通の通し柄、六通の通し柄、お太鼓柄があり、二重太鼓ができる長いものと一重太鼓の短いものがあります。
洒落感の強い帯がたくさんあります。
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名古屋帯の染帯
袋帯がフォーマルなものが多いのに対し、もともとカジュアルように作られた帯ですので、その多種多様な柄付けは遊び心が詰まった楽しいものがたくさんあります。
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絽の名古屋帯
ろうけつ染めの絽の名古屋帯です。
種類としては、単帯の名古屋帯ということになります。
単帯のコーナーで説明したように、絽は夏物になりますので合わせには使用できません。
名前の通り、遊び心のある、カジュアルな袋帯のことを言います。
紬織りのものは、よりカジュアルになります。
遊び着や普段着に大活躍な帯です。
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京袋染め帯
京都の有名ブランド「WAKKA」の おしゃれ京袋帯 です。
とても遊び心にあふれたデザインで、カジュアルな着物や浴衣で大いに楽しめます。
帯の格でいうと、全くありませんので普段着や遊び着専用に心置きなく楽しめます。
袋帯のコーナーにも出てきましたが、京袋帯にはこんな楽しい帯がたくさんあります。
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名古屋織り帯
織りと刺繍の名古屋帯です。
紬や絣、小紋や色無地に合いますね。
これくらいなら、軽いパーティーやお芝居見物、お茶席などにも使えます。
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京都の有名ブランドWAKKA 正絹半幅帯です。
手先からたれまで半分の幅に仕立て上げられており、お稽古事やお出掛け着、浴衣まで使える日常的に簡単で楽な帯です。
おしゃれで遊び心あふれる帯がたくさんあります。
表裏がリバーシブルになるように仕立てた帯のことで、特に半幅帯に多くあります。
両面使えるので2倍楽しめます。
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豪華絢爛な丸帯の腹合わせ帯です。
丸帯は通常、表も裏も同じ柄になりますが、このようにリバーシブルになる帯は手間もかかり、とても贅沢な帯です。
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京都の有名ブランドWAKKA 正絹半幅帯です。
先ほども紹介しましたが裏も使えるので2倍楽しめますし、結び方に決まりがないので自分だけの帯結びを見つけてもいいですね。
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フォーマルな装い、お子さんの入卒式、歌舞伎のお芝居やホテルでのお食事、ちょっとしたお出掛けや普段着、そのシーンで帯は変わってきます。
場に合った帯選びは着物を着る上で大切なこと。
帯の種類さえ覚えておけば、もっと気軽に楽しく着物が着れるはずです。
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